
お妙:新ちゃん 入っていい?
新八:ごめんなさい、今は誰の顔も見たくないんです、皆 いつのまにか遠(とお)く行ってしまう気がして、今までだって、ホントは何度も感じてたんです、姉上(あねうえ)、僕よくこんな夢を見るんです、暗(くら)がりの中を 僕らは 皆走ってる、でも周(まわ)りの人は皆が足はとても早くて、必死に追いつこうとしても、結局(けっきょく)僕は 最後は暗がりに一人になってしまうんです。
お妙:新ちゃん 貴方は幸せね、だって 暗がりの中でも進むべき目標(もくひょう)が見えているんだもの、本当に悲しい人は 走(はし)るべき方向(ほうこう)も見えずに立ち止まっている人、そして本当に辛(つら)い人は どちが前か後(うし)ろかも分からない暗がりの先頭(せんとう)きって走っている人、確かに歩調(ほちょう)を合わせてくれる優しい人なんかじゃないかもしれない、ぐにゃぐにゃ 回り道(まわりみち)が多い人なのかもしれない、それでも貴方はその人の走る方向が前だと信じているんでしょう、それはね とても幸せなことなのよ 新ちゃん、どんなに遠くなっても見えるわよ、足(あし)さえ止めなければ、きっと追いつけるわよ新ちゃんなら、当然(とうぜん)よね、だって 私はずっと隣(となり)で あなたのケツひっぱたいてあげるんだもの。
新八:姉上...姉上...姉上!!!二年ぐらいってもう関係(かんけい)ねえよ!姉上となら 僕は何処(どこ)までも走っていけまっ...
近藤勲:あああ~それでこそ 我(わ)が弟(おとうと)だ!必死(ひっし)にお妙(たえ)さんと俺に喰らいついってこい!手加減(てかげん)はしない、だが必(かなら)ず君だちを「ネバーランド」へ連(つれ)れていてみせる。
お妙:もう 勲(いさお)さんだら あんまり張(は)り切(き)って私だちをおいていかないでくださいね、何処(どこ)までもついていきますけど。
近藤勲:さあで、元気(げんき)出(で)たところで夕飯(ゆうはん)だ!ほらほら 早くしないとおいっていっちゃうぞ~
お妙:いや~待って 勲さん。
近藤勲:今日のご飯は何かな~
お妙:勲さんが好きな物。
近藤勲:えっ カレーっ
お妙:卵焼き。
近藤勲:っだよね~やっ やた~ これでいやなこと全部(ぜんぶ)忘れられるなあ~
新八:ぱっ!ああああああ~~~!
お妙:はい 勲さん あーん~
近藤勲:おいおい お妙さん ご飯くらい自分(じぶん)で食べられるよ~
お妙:もう 何テレテレの~?勲さんだら~私達も夫婦(ふうふ)でしょう~これぐらいいいじゃないですか。
近藤勲:本当にお妙さんは甘(あま)えん坊(ぼう)さんなんだから~どっちがスドーかやってたか、今となっちゃ分かりゃしないよねえ~
お妙:そんな言い方やめてよ~もっと早くに勲さんの優しさに気付(きず)いていたら、もっと早くに幸せになれていたのに、まさか新選組(しんせんぐみ)を辞(や)めて一緒に道場(どうじょう)をやってくれるなんて~
近藤勲:新選組はね、俺なんかいなくてもやって行けるんです、頼(たの)もしい奴(やつ)らがいっぱいいるから、ただお妙さん 貴方は僕が支(ささ)えてあげなきゃ駄目(だめ)でしょう、僕も 貴方がいないと駄目なんです。
お妙:もう~勲さんだら!ん~ふん~ん~ふん~
近藤勲:へへへ~ またいっちゃったなあ~
新八:ご馳走様です。(ごちそうさまです)
お妙:あら 新ちゃん 全然(ぜんぜん)食べてないじゃない。
近藤勲:新八君 仕事(しごと)に差(さ)し支(つか)えるよ それじゃ。
新八:ん?
近藤勲:今日は君の記念(きねん)すべき初出勤(はつしゅっきん)の日じゃないか。
お妙:そうよ、勲さんはせっかくにいい仕事(しごと)を紹介(しょうかい)してくれたんだから、期待(きたい)に答(こた)えなきゃ、はい!
近藤勲:俺の替(かわ)りに君が行ってくれるなら心(こころ)強(つよ)いよ、新選組を頼んだぞ!
お妙:研修(けんしゅう)が終わるまでは住(す)み込(こ)みらしいから なかなか会(あ)えなくなるけど、頑張(がんば)ってね、私達二人...いいえ、三人が応援(おうえん)してることも忘れないで。
近藤勲:ん!ん?三人?三人って...
お妙:新ちゃん 帰ってくる頃(ごろ)には貴方も叔父(おじ)さんよ、この子に自慢(じまん)できるような 立派(りっぱ)な侍(さむらい)になって帰って来(き)てね。
近藤勲:ほんっ 本当ですか!?お妙さん!この俺がお父さん、聞いたか 新八君!あっ あれ 新八君?
お妙:あんなにやる気(き)出(だ)しちゃって。
近藤勲:全く...頼もしい弟 いや 叔父さんだな。
新八:ああああああ~~~!うおおおおお~~~!うおおおおお~~~!うやああああ~~~!マジてかあ~~~~~~!!!神様一体僕は何をしたって言うんですか!?ただ一年休んだだけで こんな仕打(しう)ち あんまりだあ!!!万事屋の皆だけじゃなく、あのストーカーゴリラまでも姉上をおとし、僕の兄(あに)になるまで急成長(きゅうせいちょう)遂(と)げてるなんてっ!完全(かんぜん)に邪魔(じゃま)ものになってたじゃん!完全に厄介(やっかい)払い(ばらい)で 新選組に押(お)し付(つ)けられてんじゃん!万事屋でも家でもおいてけぼり、こんな短(みじか)い間に僕の居場所(いばしょ)になくなってしまうようなものだったのかあ~!?ひどいよ、まるで一人だけ知らない世界に放(ほう)り出(だ)されたような気分(きぶん)だ、僕が一体これから何処にいったら...
柳生九兵衛:分かるよ、君の気持(きも)ち、だって僕も同(おな)じだから。
新八:えっ? きゅっ 九兵衛(きゅうべえ)さん? めっ めちゃくちゃ女の子らしくなってる!つーか 手...
柳生九兵衛:あっ ごめん...
新八:九兵衛さん 男に触(さわ)っても平気(へいき)になったんですか?つーか その格好(かっこう)...
柳生九兵衛:ごめん 泣(な)いてる新八君を見てたらほっどけなくて、妙ちゃんが行ってしまったから、僕も変わらなきゃなって。
新八:そうか、姉上への失恋(しつれん)がきっかけて...
柳生九兵衛:変(へん)かな?
新八:あっ ごめんなさい、失礼(しつれい)なことを言って、めちゃくちゃ可愛です!めちゃくちゃ好み(このみ)です!
柳生九兵衛:あ、ありがとう...あ、あの 新八君 君は一人じゃないよ 僕もいるから、だから辛い時はここにおいでよ、よく僕も来てるから、同じ気持ちの人がいるだけで、ちょっとは気が楽(らく)になるだろう、その替(かわ)り...ぼ、僕もいいかな?
新八:え?
柳生九兵衛:いや、あの...たまに触(さわ)る実験体(じっけんたい)になってもらっても
新八:えっ なにこれ!?
柳生九兵衛:新八君だと 平気みたい、どうしてだろう...やっぱり 妙ちゃんに似てるからかな、それとも...
新八:ん~む、胸が張(は)り裂(さ)けそうだ~!
柳生九兵衛:僕 妙ちゃんを忘れたいんだ、これからはちゃんと男のこと向き合わなきゃいけないって、だから...いい?
新八:九兵衛さんってこんなに可愛がったけ!?いいよ~全然いいですよ~!偶(たま)にじゃなくて毎日(まいにち)でもいいです!僕ができることなら、なんでも協力(きょうりょく)します!毎日触ります!
柳生九兵衛:本当? 嬉(うれ)しい!じゃ、いっぱい触って、優しく...実験してね。
新八:えっ ちょっ 待って!九兵衛さん そんな実験したら 僕は...僕は!「マットサインテイスト」になっちゃうよう~!!!は~あああ~!!!...あれ? なんかあるんですけど...触り慣(な)れたなにかが...
柳生九兵衛:どうだろう 新八君のと較(くら)べて 先日(せんじつ)工事(こうじ)が終わったんだが、異常(いじょう)なのか正常(せいじょう)なのかよくわからなくてな。
新八:工事って何?
柳生九兵衛:何(なに)だ。
新八:何って何?
柳生九兵衛:男の子をつける突貫(とっかん)工事だ。
新八:な、何をしとんじゃ!?おのれは!たまに触るって そっちの玉(たま)かあ~!!!
柳生九兵衛:以前(いぜん)のようではなく、上は女 下は男、はっきりと分かれた者に生まれ変わったのだ。
新八:結局(けっきょく)更(さら)にややこしいことにやってんだろうかあ~!!!
柳生九兵衛:もう男だ女だと追究(ついきゅう)するのは疲(つか)れた,今は性別(せいべつ)を越(こ)えた存在(そんざい)になれる新世界(しんせかい)を、あの人達(ひとだち)と探(さが)している。
西郷:九ちゃん~そろそろ帰るわよ!
新八:この人とんでもない新世界一行(いっこう)としてるよ!青髭海賊団(あおひげかいぞくだん)と新世界に「ボンボヤージュ」しようとしてるよ!つうか かまっこ倶楽部(くらぶ)で働いてんの あんた。
柳生九兵衛:ふん~ 一応(いちおう)エースをやらしてもらっている。
新八:ふんじゃねえよ!色々(いろいろ)衝撃(しょうげき)的(てき)過ぎて全然ついていけないですけど~!
桂:いい加減(かげん)にしろ 九兵衛殿(どの)、そんな粗末(そまつ)のものまで付けて、あくまで俺とキャラを被(かぶ)らせてくるつもりか。
柳生九兵衛:貴様(きさま)は...
桂:両者(りょうしゃ)堅物(かたぶつ)真面目(まじめ)キャラ、違うところといえば 性別くらい、それを支(ささ)えなくし 俺の出番(でばん)を食う魂胆(こんたん)か、ふんふん~だが読(よ)みが甘(あま)かったな、そなたがその粗末のものをつけている間に、俺は!
新八:うおっ!
桂:ズラ子は!とったどおおお~!!!